ZUNBA'S RECORDING MEMORY

元宇宙ヤング、現Cyborg'80sのZunba小林さんのレコーディング日記です。所謂「テクノポップなんて大嫌い」...は、『FUTURETRON SAMPLER』参加曲、Cyborg'80s "SWITCHED ON CYBORG"制作記は、文字通りアルバム『SWITCHED ON CYBORG』の製作日記。続きは、8月14日のAAJインタヴューにて。

All About Japanにて『We're CYBORG'80s』記事を2002年8月14日に掲載。


(Sorry, Japanese only!)

BUGGLE'S RECORD HUNTING DAIRY | PAUL'S RECORD CRAZE DIARY | BITTER'S RECORD IDIOT DIARY AT DECK | UNCLE HYMN'S SENSILE MEMOIRS | BRIAN'S LABEL BUSINESS DIARY | ZUNBA'S "I HATE TECHNOPOP" STORY

Cyborg'80s "SWITCHED ON CYBORG"制作記 NEW!
所謂「テクノポップなんて大嫌い」...
第1話 | 第2話 | 第3話 | 最終回

Cyborg'80s "SWITCHED ON CYBORG"制作記

独断と偏見にもとづ くCyborg'80s "SWITCHED ON CYBORG"制作記>(記憶が曖昧なので、制作時期は出てくる通りじゃないかも)

そもそもテクノポップユニット"CYBORG'80s"は僕が洒落で始めた企画だ。いや、企画というより、ただのサイトの日記のネタだ。たまたまヨコハマの玩具屋でタカラの「変身サイボーグ」の復刻版を3体併せて3000円という投げ売り価格で売っていたのを購入した時、帰りの電車で「3人のサイボーグによるテクノユニットって、YMOぽくていいな」と思ったことから始まった。この時はそれでアルバムを出そうとかは考えていなかった。ただのシャレでしか考えていなかった。
しかし、自分のサイトの日記でそのことを書くと、友人のOIL君とpolymoog君から「おもしろい!」と言われ、「もしかしてこのネーミングってイケル?」などと思って、急遽ちゃんと曲も作ることにした。

ただ曲の方はたまたまOIL君がライブをやる、というのでそのために作ったオケに音を新たに付け加えて完成させたものだった。もちろん作っていて曲が凄く気に入ったから最後まで仕上げたのだが、最初から”CYBORG'80s"として作ったわけではなかった。そうして作った曲が"Change! Cyborg"と"あいしてるでゴーゴー”の2曲だった。この2曲はすぐにサイトにアップして、とりあえず「ちゃんと始めましたよ」と意志表示をしてみたりした。だがこの時点ではまだアルバムを出そうとかは考えてなかった。ネット内でバーチャルに活動するつもりでいた。(この時点ではまだ僕は2ndソロアルバムを出すつもりでいた) メンバーは3体のサイボーグ、人間は姿を見せないような形にしようと思っていた。

だが日に日にCYBORG'80sが企画としてもおもしろくなってきたので、ソロアルバムはやめにして、サイボーグのアルバムを出そうかと考えた。(ソロアルバムのコンセプトがなかなか固まらなかったのもあるが) そして、レーベルであるスイープレコードの細江さんにそのことを告げて、予定を変更することにした。そして、メンバーの方も固定のメンバーを持たず、自分を中心とした不特定多数によるユニットにすることにした。別に音楽活動していない人でも魅力的な人や、希望する人は誰でもメンバーにしてしまおうと考えた。実は今でもメンバーは募集中だったりするけど。

そしてそんな時タイミングよく「Futuretron Sampler」のコンピ発売記念イベントを行うという知らせが入ったので、僕はこのユニットで参加させて貰うことにした。メンバーはサイボーグ3体と僕とOIL君でいくことしいた。まー他に都合のつく人がいなかった、というのもあるが。で、ライブをやるには曲が必要なので、"TECHNOTICA EXOTICA"と"LOVE SPORTS"の2曲を新たに制作。(Love Sprotsはライブ後すべて作り替えた) これで先の2曲と併せて4曲。後1曲カバーを野郎と言うことになり、OIL君と相談して、沢田研二「TOKIO」に決定(アルバムには収録せず)。アレンジについては、ライブリハの時適当に音を出し合って決めた。

OIL君が持ってきたリズムボックスでリズムを叩いて貰い、それに合わせて僕が適当にシンセベースを弾いた。ボーカルはOIL君がエフェクターかけまくりで歌った。それが妙に気持ちよくて、アレンジはその路線で、ワンコードでダブぽい雰囲気にしようと決めた。それと前後して、サイボーグのアルバムにはゲストボーカルを迎えたいと思っていたので、兼ねてから是非お願いしたかったjellyfishのトモコさんにボーカルをお願いしていた。曲の方はそのちょっと前に早瀬さんの復活プロジェクトに出したが、ボツとなってしまった曲("夢心地"HeatBe@t ANI作曲)。この曲はボツにするにはあまりにもったいない曲なので、サイボーグで使わせてもらうことにした。

ANI(実際に僕の兄だが)の書く曲は、とても甘いメロディーと甘いハーモニーを持った曲が多い。夢心地はその中でもとてもドリーミーな曲だ。それとANIからはも1曲提供して貰った(The garden in the air)。この曲は元のデモでは8ビートの軽快なナンバーであったが、僕はそれを変更してマーティング・デニー風のアレンジにした。只単にPasific231が好きなのでそれっぽくしただけだけど。

ところで僕はANIからオンガクには理論が存在することを教えて貰った。ANIの解き明かした理論は素晴らしいものであった。が、理論的思考能力の低い僕はそのロジックの半分もうまく理解できなかった。解ったのは「スケール」というものにのってればメロに対して外れないコードをつけられる、ということだった。でもそのお陰で僕はひとつのメロディーにいくつかのコードをつける方法を知ることが出来た。そして、この夢心地の甘い旋律はトモコさんのキュートなボーカルにぴったりだった。実際の仮歌録りは、オケをトモコさんにところへ送り、トモコさんが自宅で録音したものを送り返してもらって制作した。途中途中の試聴はネットを介して行った。ただこの曲は歌詞がなかったので、同じくjellyfishの三詠さんに作詞をお願いした。(そして出来上がってきた詞は本当にスバラシイものだった)

それと、新たに作った曲("My Cyborg")。"My Cyborg"の方はトモコさんだけでなくjellyfishの3人にも歌ってくれるようにお願いした。Cyborg'80sでは僕はそれまで頻繁にやっていた激しいコードチェンジや歌謡曲的構造はなるべく控えるようにしようと決めていた。少ない構成、少ない音数、メロディアスでなくてもヨイ、とした。歌謡曲構造の曲は他のメンバーのかたからの楽曲提供で補うこととした。さすがにアルバム1枚通してワンコードものじゃ、聴いてて飽きるしね。

そんなこんなでライブも終えて、僕はサイボーグのアルバムリリースの為の曲作りに没頭することにした。そしてライブの時に初めて顔を合わせた噂のポールさんにお願いして、曲を提供してもらうことにした。しばらくして沢山の曲がポールさんから送られてきた。僕はその中から2曲をサイボーグで使いたいと、申し出てアレンジを始めることにした。とりあえず1曲アレンジしたものの、サビメロ以外は作り替えてしまったので、ポールさんの反応がどうなるのか、非常に気がかりとなった。で、ポールさんに聴かせると案の定「気に入らない」と言われてしまった。そりゃそーだわな。

とりあえずこの曲はおいておいて、次のもう1曲をアレンジ。こっちはメロから構成まで元のまんまでオッケイだと思ったので、そのまま素直にYMOちっくにアレンジ。こちらの曲は流石にジャーマンプログレの流れを汲む(の?)ポールさんらしい、構成の多い曲だった。いや、ニューロマな曲なんですけどね。こちらの方はポールさんも気に入ってくれて、よかったよかった。("ミスルージュ")まー出だしのフレーズはサービスということで(て、なんの?)ただ、この曲はボーカルをどうするかがネックだった。

そんなことしながら、polymoogくんから「Change! Cyborg」と「Love Sports」のリミックスが上がってきた。どちらもポリさんらしい秀作だった。元よりこっちの方がいいかも?ただ「Change〜」の方は思いっきりゼビウスのブラスター音とかが使われていたので、こちらは差し替えて貰うことにした。やばいのよ。そーゆーのは。

そんなことしている時に、アルコ堂のBBSでANIが知り合ったジャズピアニストのウミノサチさんと、なんかやりましょう。と、いうことになり(丁度アルコ堂が20万アクセスを迎えるいうのでその記念に)セッションでもしましょう、という話になったりした。この時はoilくんにも参加してもらい、僕はこのセッションでボーカル以外の生演奏をエディットする、ということを初めてやった。これはスゴク面白かった。おそらくサイボーグの次のアルバムのサウンド作りのアプローチの一つになるだろう。1stでは今まで僕がやってきたことをそのままやっているが、次回は方向性が変わるだろう、とこの時思った。(この辺の詳しい話はこちらに)この時やった曲は最終的にANIの手でACIDを使ってリミックスされた。

そしてそして話は戻り、jellyfish以外にもボーカルをフューチャリングしようとと考え、jellyfishのお友達のリエさんをトモコさんに紹介してもらった。
リエさんの歌声はライブで何度か耳にしていたので、広がりのある曲がいいかな?と、思いなるべくイメージに合うような形の曲を書いた("In the mirror")
リエさんの歌声の聞き所はハイトーンの伸びだと判断して、エモーショナル溢れる曲を目指した。最初この曲は4つ打ちベードラでサンバハウスぽいアレンジにしていたが、どーも他の曲とのバランスがとれない感じがして、デモをリエさんに渡した後だったが、総てアレンジし直すことにした。メカニカルなオケにエモーショナルなボーカル、という相反する要素をひとつにまとめてみよう、と思ったのだ。

だが、これは歌うリエさんには非常に難しいことを要求することになってしまった。で、こちらも作詞は三詠さんにお願いした。歌詞は三詠さんが多忙の為か、なかなか出来てこなかったが、出来上がってきた三詠さんの言葉の使い方がとても素晴らしいもので、すっかり気に入ってしまった。歌詞が出来た時点で仮歌を、と思ったのだが、なかなかタイミングがうまく合わなかった。当初サイボーグのアルバムは12月に出す予定でいたが、もろもろのタイミングが合わなかったので、レーベルには4月に発売を延期してもらうことにした。あまりにせっぱ詰まった状況ではやりたくなかったしね。

それと更に1曲、作っては見たものの、ボーカルをどうしようかと考えていた曲があった。オトコボーカルの曲、と思っていたのだが、どうにも適任者がいない。
ボーカルは決まらないまま、歌詞は英語にしたかったので、英語詞をBuggleさんにお願いすることにした。詞は最初僕が日本語でイメージ詞を書き、それを訳してもらう形にした。一度作ってもらった英詩をメロにのせてみて、「ここをこうしたい」というようなやりとりをメールでして、詞の方は仕上げてもらった。ボーカルはずっと僕が「仮歌」ということで入れていた。そんなことをしている内に2001年は過ぎていった(ような気がする)

年が明けて、DJをやっているマグナロイドくんが「今年は歌います」宣言をしていたのを目にした。僕はそれを見た瞬間「彼にボーカルを頼もう」と思った。別にこれといった理由はないんだけど、ただたんに、おもしろくなりそうな気がした。多少下手でもいいので、独自の味というかキャラクターのあるボーカルが欲しかったのだ。彼は演歌調というかムード歌謡調の歌い方にキャラがハッキリ出ていた。こういったタイプはハマルか、全然ダメかのどちらかなのでダメだったらオイラボーカルでいいや、と軽く考えたりもした。とりあえず仮歌を録ろうということになり、彼の自宅へ録音しに行った。激しい砂嵐の中のレコーディングはなかなかスリリングなものだった。と、言うと語弊があるな。マグナロイドくんは、僕の仮歌の歌い廻しとは全然別の歌い廻しをしてくれた。それがなかなかイイ。ただ、まだボーカリスト宣言をしたばかりで、自分の歌い方をちゃんともっている訳ではなかったので、難点はいくつかあった。けど、それ以上にユニークさがあったので、今後の彼の練習に期待してボーカルはマグナロイドくんでいくことにした。(HAKKA)

ついでにポールさんの曲も、と、思ったのだが、キーが合わない。テンポが早すぎる、といった点で彼に歌ってもらうのは作り直すしかなかった。が、そこまでして歌ってもらうほどでもないか、と、思って別の人を、とも思ったのだが、リリースのまで時間的にそこまで余裕はなかった(結果的には余裕はあったんだけど)。そこで苦肉の策として自分でボコーダーで歌ってみた。そしたらこれがなかなか面白くてイイ感じだった。ポールさんに聴いてもらったとこ、好感色をもらい、この曲はそのままボコーダーでいくことにした。

で、その仮歌録りの前の週にはリエさんの仮歌を録った。正直言って、歌いこなすのにかなり難しい曲だ。なんと言ってもリズムを捉えにくい。メロの音域の幅も広いし、アップダウンも多い。そのためどうしても音程の安定の方に気が取られてしまう。そうすると、エモーショナルな部分が疎かになる。両方を実現させるのは、よっぽどの実力を持った方でも難しいと思う。では、どちらに視点を置くか?僕は「エモーショナル」に力点を置くことにした。多少ピッチなんてずれても、タイミングがずれてもいいかもしれない。歌声からなにか「グッとくるもの」があればそれでイイと考えて仮歌を録ることにしていた。ま、なによりやってみないと判らないですが。リエさんも最初なかなか感じが掴めないようだった。何度かテイクを重ねていき、だんだんと「グッと来るもの」が見えてきた感じがした。なかなか素晴らしい仮歌が録れたな、と僕は思った(今でも僕はこの時の仮歌が好きだ)。

この時点で、CD発売は4月下旬を予定していた。そして、生のボーカルだけはスタジオで録ることになっていたので、スタジオの予定を立てなければならなかった。こちらの予定をボーカリストに伝え、相手の予定を聞き、スタジオレコーディングの日にちを決めた。正直言って僕としてはリリースまでに余裕のあるスケジュールにしたかったが、いろいろと事情もありレコーディングはギリギリの日程となってしまった。これ以上は遅らせられない、という日程で行うことにした。プロデューサーの細江さんへレコーディングの日程を伝え、スタジオを押さえてもらった。それと、アルバムのタイトルや曲順も決めないといけない時期だった。曲順に関しては多少悩んだが、僕の中である程度流れが出来ていたので、後半部分の曲順についてoilくんに意見してもらったりして決めた。

問題はアルバムタイトルだった。僕は当初「SF」というタイトルを考えていたが、なにかしっくりこなかった。なのでここでも突発的アイデアを出すのを得意とするoilくんに、なんかイイのない?と聞いてみた。そして、いくつか彼から上がったタイトルの中から”スイッチ オン サイボーグ”が一番ピンときた。oilくんはキカイダーの「スイッチオン!1−2−3」から取ったようだが、僕はすぐさまワルター・カーロスの”スイッチト オン バッハ”を思いだし、タイトルを”SWITCHED ON CYBORG"にする事に決めた。とても判りやすいタイトルだ。

さて、後はレコーディングのみか、と思っていた矢先、トモコさんから実はおめでたなの、とメールがあった。しかもその影響で体調がかなり不安定だと言っている。これにはかなりビックリ。いや、もちろんおめでたいことなので万々歳だけど、レコーディングはちと難しい様子だった。これには非常に悩んだ。
考えられる選択肢は3つ。
(1)トモコさんにはムリしてレコーディングしてもらう
(2)トモコさん抜きでやる。トモコさんのボーカルは仮歌トラックをブラッシュアップして使う
(3)レコーディングを延期する(と、いうことは発売を延期する)
しかもスタジオを押さえる〆切が2日ほどしかない。細江さんとも相談して、結局(3)延期、することにした。条件が整わないのにやるのは止めよう、と思ったのだ。気持的には「4月リリース!」と決めていたのでかなり後ろ髪引かれるが、焦ってもしょうがない。少々気が抜ける感じがしたが、CD発売を8月に延期と決定した。一応目安として5月に状況をみてレコーディングの日程を決めることにした。そー決めたら後はのんびりやることにした。なんと言っても天からの授かり物なので、こればぁりは神のみぞ知るといったもんだ。

んで、サイボーグとは関係ない曲を暫し作りつつ、うだうだしていると、よしのエロチカ番長とTM社長からコンピのお誘いがあった。うーんナイスタイミング。コンピにはテーマがあったので、それに添ったものを作った。今回のボーカルはヒナコさん。oilくんもギターで参加。そしてドラムを生まれて始めて生でマイク録音した。叩いたのはチャーリーくん。ま、この辺の話はコンピが出たらまたする、ということで。

て、ところでこの話どうなってます?>TM社長

そんなことをしつつ、また別のところからコンピのお誘いを受けつつ(こちらはフュートロに収録したモンミュフちゃんをフューチャリングした曲の別ミックスを収録。コンピは9月発売予定)風薫る5月となった。そして再度参加者の予定や体調を聞き、6月下旬にレコーディングの運びとなった。ただ、前の予定よりだいぶずれたので確認の意味合いでもう一度リエさんとマグナロイドくんは仮歌(?)を録ることにした。トモコさんは体が一番大事なので、わざわざ仮歌を取り直す、ということはナシにした。信用もしていたのもあるし。で、もうレコーディングに使用するスタジオがプロツールス使っているトコなので、ピッチに関してはピッチチューンで修正を入れることにして、各ボーカリストにはパフォーマンスに力を入れてもらうことにした。この仮歌を録ることで、レコーディング当日、僕がどういった点に気を付けて望めばいいのかが見えてとても有意義だった。限られた時間の中でレコーディングしないとイケナイため、「なにをどうするのか」と言った方向性は見えていないと時間通りには終わらない。プロデューサーは細江さんだが、なにをオッケイとするか、の決定権は僕の方にあった。細江さんは不思議となにも口出しをしない人だ。僕の方で「こうします」と言うと「ほいほーい」と言って応じてくれる。こんなに僕の方で決めちゃっていいのかな?と、思うくらい自由にやらせてくれる。不思議だ。

そして、レコーディング当日がやってきた。スタジオは神保町にある”サウンドシップ”。ここは以前2度ほど遊びに行ったことがあるスタジオだ。エンジニアの野川さんも顔は知っているので、レコーディングをするのはとても気が楽だった。が、当日、僕は乗りlかえる電車を間違えて30分ほど遅刻してしまった。スタジオに着くとすでに一番最初に録るトモコさんが来ていた。マタニティーファッションのトモコさんは大分雰囲気が変わったように僕には見えた。だんだん”母親モード”にシフトしている感じがした。どんな女性でも、妊娠して新たな生命を宿している人はなにか特別なオーラを出しているように僕は思う。トモコさんも同じくなにか生命観あるオーラを出しているように感じた。とても静かなオーラだけどね。で、とりあえずまず慌ただしくエンジニアの野川さんとトモコさんに挨拶すると、早速オイラHDRのオケをプロツールスへ流し込んだ。ロースペックなマシンからハイスペックマシンへ音源を流し込むのはちょっともったいない気がした。どーせならこのハイスペックを活かしきるようなレコーディングでもしてみたいけど、インディーズ、というか素人には夢のお話だな。ここでこんなことが出来るだけでも万々歳だ。

結局統べてのオケを流し込むのにけっこう時間がかかってしまい、トモコさんのレコーディング開始は予定より1時間近く遅れてしまった。でも僕は特に焦ってはいなかった。多分トモコさんのボーカルは2〜3テイクで終わるだろう、と思っていたりした。オケを流し込んでいる間に細江さんとリエさんがやってきていた。リエさんは早速ロビーで発声練習を始めていた。

そして、トモコさんに録音ブースに入ってもらい、サイボーグのボーカルレコーディングはスタートした。まずはオケを流して(曲は「夢心地」)軽く合わせてもらう。流石にトモコさんは宅録で鍛えているだけあって、自分が歌いやすい状況を知っているようだった。ボーカルに深めにかかっていたリバーブはすぐに「もう少し小さくして下さい」と指示を出していた。ワンテイクはほとんどそういった音合わせ、と言った感じであったが、僕はその時点で3テイク以内にオッケイが出るな、と思った。体調のことが心配だったが、それは大丈夫であった。独特のすこしうわずった様な、どこそこなく刹那い感じのボーカルスタイルは健在だった。結局3テイク歌ってオッケイを出し、一応もう1テイク歌って貰ったが、もうそれ以上は必要なかった。トモコさんを録っている途中で、ヒナコさんとマグナロイド君もやってきた。jellyfishの三詠さんと佐智子さんもやってきた。スタジオの中は人が増えて、とても活気づいてきた。楽しくなりそうな予感が溢れてきていた。
次はリエさんにブースに入ってもらった(曲は「In the mirror」)。だいぶ緊張している様子が、こちらからも見て取れた。この曲のレコーディングが今日の山場だと僕は思っていた。時間がかかるとしたらこの曲だろう、と。

まずは1テイク目。どうも、自分の声を掴みきっていない感じがした。孤独なブースで慣れないレコーディング。かなり緊張もするだろうけど、僕はその緊張感にちょっと期待していた。3テイク録ったところで、なにか後一息で「グッとくるもの」に行けそうな感じがして、僕はリエさんに更に注文を出していった。横ではヒナコさんが「こりゃー歌うの難しいよ」と連発していた。て、なんかこう書くと緊迫した雰囲気に見えたりして。実際には僕が「クレッシェンド」てコトバが出てこなくて細江さんに聞いてから、リエさんに「だんだんクレシェンドする感じで」とか言って笑われたり。それを聞いたマグナロイドくんが「そんなこと僕に言っても『フェーダー上げて下さい』て言うよ」と、コントロールルーム内は実に和やかでした。
ただそんなスタジオの状況が判らないリエさんは(録音ブースにはコントロールルーム内の音は全然聞こえない)どう歌うべきかを一生懸命探しているようだった。

そして5テイク目。かなり「グッと来る」感じになってきた。ただ、音程の方は不安定になっているが、僕が欲しいのはそっちじゃない。続いて6テイク目。これもかなりイイ。後もう少しかもしれない。けど、その”あと少し”がなにかの大きな違いなのだと思う。これを出すのは至難の技だと思う。果たしてそれをリエさんに要求していいものかどうか?挑む価値はあることだと思う。でもムリしても出るものではない。と、思ったが、リエさんの方から一旦休憩を入れたいと申し出てきた。「ムリしてもう1テイク」と思ったが、集中力が切れているようなので、ムリはせずに休憩を。ブースの中は想像以上に緊張するらしく、こちらに戻ってきたリエさんはけっこう疲れの色がでているようだった。のどを潤し、しばし歓談して気を入れ直してリエさんが再度ブースへ。この休憩が歌にどう影響するか。

そして7テイク目のスタート。休憩のおかげでだいぶ冷静になれたようで、ピッチの不安定さがかなり減った。そこはいいのだが、その分「うまく歌いこなそう」といった姿勢にもなってしまい、5〜6テイク目に出したエモーショナルな部分がむき出しになる感じは後ろへ引いていってしまったようだった。僕は、もう先ほどのような感じは出せないかな?と、思ったりした。細江さんとも「さっきの感じがなくなっちゃったね」と話をし、後もう1〜2テイクは細江さんからの提言で安定したピッチを気を付けて歌ってもらうことにした。後でいいテイクを繋いぐつもりでいたので、ここでは安全牌を用意することにした。そして10テイクほど録って、リエさんの録音は終了した。ホント、お疲れさまでした。一応録音を終了した時点でどの部分にどのテイクを使うかを決めたが、僕は6テイクを中心にして5テイクを合わせる方針にした。つくづく「歌うって難しいんだな」と、思った。て、今更そんなこと思うな、てか。

そして次はそのまま引き続きjellyfishの3人が歌う「My Cyborg」。もー「In the mirror」が終わったので、僕は気が楽だった。後は楽しくやれそうだった。まずは、リーダーのトモコさん。んーもう1テイク目でオッケイだね、と言った感じだった。結局2テイクでオッケイ。この曲はいくつかボーカルでパーツが欲しかったので、それも引き続き録る。そのパーツのひとつにセクシーに「アァン、アッハン」というお色気吐息フレーズがあり、この声をスタジオのモニターから聞いたときは本気で萌えてしまった。萌え萌えー。いやー貴重な体験をしたよ。

そして続いては三詠さん。三詠さんはかなーり緊張している様子だった。でもその感じがとても良かった。音程が外れていくところがとてもよかった(て、こんなこと書いてゴメンナサイです)。こちらも3テイク(だったかな?)でオッケイ。そしてお色気声を出して貰って萌え萌え。この辺りでトモコさんがご帰宅となった。身重の上、長時間ありがとございました。と、皆で見送る。しかし三詠さんのボーカルはうまく行けばアストラッド・ジルベルトみたいになるかなー?なんて思ったりした。

続いて佐智子さん。佐智子さんにはパフォーマンス的な部分でどーんと行ってもらうようにした。流石にダンサー。初めてのブースでも度胸がある感じだった。佐智子さんはもっと前からコミュニケーションを取っていればもっとイイパフォーマンスをしてくれたかもしれない、と思った。ちょっとその点が残念だったかな?
なにかノリがあえばアイデアとかもどんどん出してくれそうな感じがした。「自分はこうしたい」というのを持っているような印象を受けた。こちらもサクサクと終えた。この曲に関してはピッチチューンをかけて調整するつもりは初めからなかった。3人の歌声が合わさればそーいったことは気にならない。でも3人揃うとすっかりサイボーグの曲、というよりjellyfishの曲だ。jellyfishファンは皆この曲を聞かねばならないな。聴けよ。

で、佐智子さんが録っているところで、ふと「オトコの声も欲しいな」と、思った。キュートな3人の声に男の声。そして振り替えればそこにはソファーに座るマグナロイドくんが居る。すかさず、「歌って」とお願いする。そして、ここで断らないのがマグナロイドくんのいいところだ。芸人だね。と、お願いしてみたところで僕に具体的なものがあるわけではなかった。とりあえず、適当にやってもらった。なかなかイイ感じではあったが、なにか今ひとつ。と、彼の方から「ささやくのなんてどうですかね?」と提案してきた。すかさずやってもらうと、めちゃめちゃイイ。お色気度が120%アップした。その調子で彼にも喘ぎ声を出して貰った。それを聞いてスタジオ内は大爆笑となった。いやー笑った笑った。それとマグナロイドくんは歌ってないときもサービス精神なのか、なにかいろいろと言ってくる。それがまた面白い。流石になにかをしでかす男は違うなー。

で、そのまま「HAKKA」へ。と、思ったがお腹が空いてきたので「メシにしない?」と聞いてみると、皆さんは賛成だけど、マグナロイドくんは「緊張してメシ食える状態じゃない」と言う。全然緊張しているように見えないんだけどな、と、思いつつ、メシは録音後にすることにした。

そして最後の曲、マグナロイドくんのレコーディングがスタート。この辺りで友人の祐輔君が家族揃って、娘の天音ちゃんもつれてやってきた。うーん、もうちょっと早い時間に来れば女性ボーカル曲も聴けたんだけどね。それとスーパースイープの佐宗さんもケーキを差し入れに来てくれた。疲れているときのケーキは格別んまい。そしてマグナロイドくんの歌声。うーん、実に良い声だ。そして相変わらず歌ってない時にブツブツ言っているのが楽しい。ボーカル自体はピッチの怪しい部分もあったが、それよりも「マグナロイド」のカラーが出ているかどうかが勝負。そしてこの曲は都合5テイクて終了。その中の3テイク目と最後のテイクを使うことにした。

そして最後の部分、曲のサビメロをヒナコさんにユニゾンで歌って貰う。マグナロイドくんの歌声とヒナコさんの歌声が実にいいマッチング。これでサビメロに厚みが出た。で、ヒナコさんが歌う前にマグナロイドくんが歌っているサビのフレーズと僕が仮歌で歌ったフレーズが違うけどどっちでいくの?と質問がでた。でたけど、今正直に言うけど、自分が歌ったメロなんてすっかり忘れていた。ヒナコさんに言われて、「あーそんなメロだったっけ」と、思い出した次第だったりした。でも改めて聞くと、オリジナル(?)の方が良かったので、急遽ヒナコさんの歌唱指導の元、マグナロイドくんにはサビメロを歌い直してもらうことにした。そしてそしてそして、レコーディングは終了!どこからともなく拍手が・・・・・・・わき起こったっけ?起こってないか。この時点で三詠さんと佐智子さんがお帰りに。どーも一日ありがとうございました。三詠さん素敵な詞をどうもありがとうございました。

で、その後は鬼のエディット作業へ突入。ここからはエンジニア野川さんの腕の見せ所。が、この辺り僕もかなり疲れてきていたので、どの順番でやっていったのか正確に憶えていない。たしか、順番通り「夢心地」のエディットに入ったのではないかと思う。違ったかな?この作業をしているとき僕はあまりスタジオに居なかった。ロビーでリエさんといっしょにサッカー韓国対トルコ戦を見ていた。

次に一番時間がかかりそうな「In the miror」だったと思う。まずは各テイクのどの部分を使うかを決めていった。先ほどの感触では5テイク目を1コーラス目の中心に、6テイク目に2コーラス目の中心に、と、思っていたが、再度聞き直してみると、5テイク目がなにか迫力がない。特に1コーラス目が抑えすぎている感じがする。結局1コーラス目は淡々としてる9テイク目を使うことにした。

で、ここらで本当に腹が減ったので、弁当を頼むことにした。記録によるとその日の弁当は
海鮮チャーハン弁当 1
ハラミ弁当 1
カルビ弁当 1
カルビチャーハン弁当 3
と、なっている。

野川さんは弁当を喰うととすぐにエディット作業に突入した。僕はもうすっかりくつろいでいた。メシを喰い終わったくらいにサッカーも終わり、試合はちょっとしか見られなかったが、なかなかいい試合だったようだ。全部見たかったけどね。で、スタジオに戻り、他の曲のオッケイテイクの確認やエディット作業を眺める、などとしていた。そして時間も11時近くなり自分のボーカルのエディット作業を見届けたリエさんとマグナロイドくんとヒナコさんがお帰りとなった。長時間お疲れさまでした&ありがとうございました。

エディットを終え、ボーカルトラックを僕のHDRに流し込み始めた頃、Oilくんから電話があった。「まだいるの?」というので「もう少しいる」と答えるとスタジオのすぐ近くに住んでいる彼は自転車でやってきた。もうスタジオ内は4人ほどしかいなかったので、先ほどの賑わいはもうなかった。Oilくんはデジカメでいろいろ写真を撮っていた。ボーカルトラックを総て流し込み、夜も11:30を廻ったところでその日の作業は総て終了した。野川さん長時間お疲れさまでした。黙々と(?)作業しつつ時々コメントや指示をしてくれるのはホントに助かりました。そしてこの日は僕にとってはちょっとしたお祭りのような1日だった。実に楽しかった。毎日がこうして音楽制作に明けるれていられたらどれほどシアワセか、と、本気で思った。そして今日スタジオにきた皆様に心から感謝。と、ここで話はまだ終わらない。

その後、プロのエンジニアが録音し、エディットした音を僕がさらに加工し、ミックスする作業が残っている。とりあえず、その日は部屋に帰ると興奮さめやらぬ感覚ではあったが疲れていたので寝ることにした。が、次の日、起きるととても頭が痛い。ミックスをしようと思っていたが、とても出来る状態ではない。結局その日は夜まで寝ていたが、流石に少しでもやらなくれは、と思い作業を開始した。あんまりのんびりやっている時間はなかったりした。

次の日、僕は仕事を休んだ。体調不良というより、ミックスを仕上げなくては、と思ったからだ。でもこの日もなかなか頭痛が治まらず、作業はあまり進まなかった。と、その日ジャケや印刷物のデザインをお願いしていたナカムラさんから「全部仕上がった」とメールがあった。で、早速次の日ナカムラさんと逢ってデザインをみせてもらった。これが、とてもイイ。このなんとも言えない古っぽい感じがいい。ナカムラさんのこの独特の色使いは何処から来ているのだろう?個人的には僕はナカムラさんは画家のタイプのように思った。macもいいが、キャンバスに向かって絵を描くと一番エネルギーを出す方のような気がした。「絵を描く」というパフォーマンスも絵になるような。あ、あくまで個人的な気分だけど。で、誤字脱字をチェックして、いくつか変更希望をお願いして最終的に仕上げていただいた。これは本当にユニークなものができたと思う。

後は僕の音源だけだ。まずは一番時間がかかりそうな「My Cyborg」から。なんと言ってもボーカル3人+セクシーマグちゃんボイス。それにいくつかパーツもあるので構成する音数が多い。これを8trしかないHDRで行うのは、けっこう労力を要する。しかもややオケの音の質感とボーカルの質感が違っているように感じたので、ボーカルのさらにコンプをかけ、つぶし気味にした。これをやると音が細くなるので(レンジが狭くなる。もっとイイコンプならそういうことはナイのかもしれないが)本音を言えば出来る限りやりたくない。が、それ以上に僕にとっては「音の質感」というのは重要なことなのでここはどんどん変えていく。なによりボーカルが3人なので、3人合わさったときはちょっと細い位の方がかえって丁度良かった。で、これはボーカルバランスを取るのに何度もバランスやエフェクターのかけ具合をやり直した。結局一部の音はトモコさんからもらった仮歌を使った。

特にセクシーボイスは自宅でこっそりトモコさんが録音した方がエッチぽい感じがしたりした。気のせいかもしれないけど。結局この曲はCyborg'80sというよりjellyfishの曲、といった趣になった。なんか「jellyfish sensation」の第2弾て感じだ。重ねて言うが、jellyfishファンは聴けよ。聴くんだぞ。

次に「HAKKA」にとりかかった。これは最初からボーカルをダブルで重ねることにしていたが、その辺のバランスがちと難しい。マグナロイドくんのボーカルをどーん出すべきか?迷った。結局あまりださないことにした。だすべきだったかな?

次に「In the mirror」。これもボーカル処理に非常に悩んだ。これも録ったままの状態だとオケとボーカルが一致していないように僕には感じた。ボーカルに勢いも欲しかったし。だが、音が細くなっては困る。むしろもう少し太くしたいくらいだ。だが、僕の機材ではそうはならない。どうすべきか?なんども処理したボーカルともとのボーカルを聴き比べて、結局処理した方で行くことにした。そしてフト思ったが、このピッチ調整はこんなにしなくてもよかったかもしれない、と思った。もとのままでも、むしろそっちんの方が聴く側になにかが伝わるのではないか?と、思った。

そして「夢心地」。これは特に問題なくボーカルもそのままにディレイとリバーブをかけて終わった。ほぼデモのままだった。ただボーカルの明瞭度が格段に上がったので、聴いていてとても気持イイ。これもピッチ調整必要なかったかな?。ホントに気になるトコだけのして。そしていつものことだが「最終的に提出する音源」というのはとても神経質になるものだ。だが、その神経質さ、というのは多くの場合仇となる。慎重になりすぎて失敗するのだ。だから僕は以前に一度完成させたミックスはいじらないことにした。いじるのはトータルコンプとEQだけだ。そちらはマスタリングをされることを前提に抑え目にすることにした。心の中では「あと2dBプラス!」と、思っていたけどそこは我慢した。そして決定した音源を細江さんのところへ持っていき、マスタリングをお願いした。

曲順に関しては既に3月の段階で決めていたので、変更はしなかったが、1曲だけ改めて通して聴くと合わない感じがしたので、別の曲と差し替えた(トワイライト)。一応1曲目から7曲目までがA面。それ以降がB面という構成だ。ま、LPにしては収録時間が長いけど。当初は46分テープに収まる長さでアルバムを作ろうかとも思ったけど、結局トータル60分ほどの長さとなった。で、マスタリングに関してだけど、最初僕は、今時のコンプガンガン音圧ガンガンのサウンドにしてもらうようにお願いした。今回はそれがいいかな?と、思ったりもしたので。で、1度作って貰ったのを聴いたら「違う」と、思ってしまった。いやー今時の音圧過多サウンドて、こーゆーことなのね。て、すごくよく判ってしまった。音が全部前に出て迫力はあるんだけど、それ以外はナニもなかった。モノラルならこれでいいかもしれない。ステレオでも小さな音量で聴きたいのならこれでいいかもしれない。でも僕は申し訳ないのだが、やり直してもらうことにした。

が、細江さんの方で身内の方にご不幸があって、急遽マスタリング作業を佐宗さんにやってもらうことになった。僕は申し訳ないな、と、思いつつ佐宗さんにはいろいろと我が儘を言ったりした。いや、やっぱこだわりたいのよ。実際のところ。佐宗さんは急に選手交代だったので、やりにくかったとは思うが、出来上がったサウンドは申し分のないものだった。僕が自分んでやろうとしても出来なかった部分がきっちりと処理されていた。今まで何度も聴いていた音源なのに、新鮮に聞こえたくらいだ。これは本当に本人大満足の素晴らしいサウンドと相成りました。

Cyborg'80s"SWITCHED ON CYBORG"は実にステキなアルバムです。コレというのも多くの参加者や協力者がいてのことです。皆様には本当に感謝です。とりあえず後はCDそのものが上がってくるのを待つのみ。できれば沢山売れて欲しいな。あと、望むことはそれだけです。さ、これで一仕事終える訳だし。次はなにをやろうかな?

所謂「テクノポップなんて大嫌い」...

元宇宙ヤング、現Cyborg '80sとして活動するZunba小林さんが、『FUTURETRON SAMPLER』でpetit poisこと、モンミュフさんと『La Schatte poseuse』というフレンチテクノポップを一緒にやっています。以前から、ポール・フランクさん等周囲の人たちが不思議にそして不条理に思っていた節があるのですが、ここにZunbaさん自らその秘密を明かす時が来ました。どうか、最終回まで読んでください。

第1話〜黎明編

そもそも事の始まりは吉野氏(当時は無頼庵と名乗っていました。)がポップアカデミーBBSで「テクノ歌謡インディーズ版のようなコンピを作る」と発表したことに遡ります。その告知を見た僕はすぐに「参加させて下さい」と吉野氏へメールしました。そして運良く並み居る競合インディーズバンドを押さえて、コンピ参加への切符を手に入れることにバイセコー大成功しました。噂では倍率は226.35倍、失業率は5%(当社調べ)と聴いております。

ただその切符を手に入れるには「宇宙ヤングノ未発表音源ヲ放出セヨ」という要求が突きつけられたことをここに加えておきます。で、安直な僕は「テクノ歌謡と言えばウイスパーボイス。ウイスパーボイスと言えばフレンチテクノポップ」と考えました。が、自分の周りにはそんな小ジャレタウイスパーボイスの持ち主などいません。僕はマボロシのウイスパーボイスを求めて宛のない放浪の旅へと旅立ったのでした(ウソ)。

誰かいないかなーと思っていたある日、前から好きだった「ユーリカ!」というユニットのライブを高円寺マーブルへ見に行った時、そこにモンミュフミュフちゃんが出ていたのでした。ギター1本にウイスパー。ボッサとフレンチ。おーこれぞまさしくオイラのイメージしていた娘じゃん。で、その場ですぐに声をかけたのかというと、実はその時は声をかけませんでした(ナゼならまだコンピリリースの具体的な話までは聞いていなかったので、C調派いや・・・・慎重派の僕としては「具体的な話が出てからナシをつけようじゃないか。おぉぅ」と意味もなく凄んでみたりしました。そして暫くしてから吉野氏から具体的なプランを聞いて、(詳しすぎるほど詳しい内容でした。参加者にそこまで公表しちゃうもんなのかなー?って内心思ったりもしました。そこが吉野さんの誠実なとこですけど)やっとモンミュフちゃんに声をかけることにしました。

で、とりあえず前に一緒にライブに出ていたユーリカ!の方にモンミュフちゃんの連絡先知ってますか?と訪ねたところ、自分達は知らないけど、知っている人紹介します、と言って一人の方を紹介してもらいました。で、その方からメールが来るとそこには某大手メジャーレコード会社(”大手メジャー”って言い方もなんか変だな)の名前が。「ここに電話下さい」と。「この会社名は?メジャー?なの??」ちょっと気分が重くなりましたね。

第2話へと続く…

第2話〜鳳凰編

ちょっと気分が重くなりましたね。こっちとら趣味感覚で遊び(もちろん真剣な遊び)でオンガクしているだけなのにメジャー?つーことはケーヤク(漢字で書くと「契約」)とかギャラ(漢字で書くと「書けません」)とかそーゆーのがついて廻るのか?と一抹の不安を感じてしまいました。ギャラとか言われたらどーしよー。んなもん払えましぇん。などと思いつつとりあえずそのOさんて方に電話しました。すると、別にモンミュフちゃんはケーヤクとかそーゆうのを結んでいる訳ではない、つーことが判りました。でも「ノーギャラ」でやってもらっていいのだろうか?という不安はやっぱ残りました。

まーでもその辺も自由にやって貰って大丈夫な感じでした。で、これでモンミュフちゃんと直接話が出来るかな?と、思っていたら今度は、そのモンミュフちゃんが出すCDのレーベルのSさんて方を紹介してくれるという話に。「なかなか本人に行かないなー」と思いつつ今度はSさんに電話。が、これが全然捕まらない・・・・・・・・・・Oさんから、夜中とかに電話しても大丈夫、とは聞いていたが、さすがに見ず知らずの、しかもお願い事しようとしている相手に夜中の2時3時に電話するのは気が引けましたが、繋がらないので仕方なく2時過ぎに電話。すると、話し中・・・・・・・・・話し中ということは居るということなので、暫くして再度でんわすると、繋がりました。

で、こちらの希望を伝え、やってもらえるか聞くと、「本人がやりたい、と言えば問題ない」とのこと。そりゃそーだわな。で、とりあえず1回会いましょうとう話に。でも僕としてはもっと簡単に本人と直で話がしたいな、と思いましたけど。ま、でもこういった課程も楽しいな、とも思ったりして。で、僕は実際に会うまでこのSさんもユニバーサルの方かと思っていたのだが、そーじゃなくて、Sさんは自分でインディーズレーベルと興してやっている方でした。一気にとても近い存在の方のように思ってしまいました。

で、実際にモンミュフちゃんも交え(やっと会えたよ)話をしました。渋谷で待ち合わせをしたのだが、その日は大雪でした。で、まー特に問題無く引き受けてくれることに。実際にモンミュフちゃんに会うと、ちょっと天然ボケの入った(ように見えるけど、実はしかっりもの)可愛い女の子でした。そこで僕はインディーズレーベル作っている方だから、録音機材とか持ってないかな?と思って訪ねてみました。特にコンデンサーマイクとチューブのマイクプリアンプはありませんか?と聴いたところ、Sさんは持ってないけど、モンミュフちゃんのCDのプロデューサーを勤めたTさんなら持っている、とのことで、マイクとプリアンプはその方に借りることにしました。

で、ボーカルが決まったので、僕はやっと曲作りをすることにしました。え?先に曲があったんじゃないのか?って。ありません。そこからやっと作り始めたのでした。ちゃんと「来週には作って送ります」と宣言しました。と、言うか楽曲提供の〆切が近くなってきていた。悠長なことやっているヒマが無くなってきていました。(たしかこの辺で、吉野氏から「〆切延ばします」のメールが来て、「助かった」と思いましたよ。)曲の方はミカドとカヒミを聴きながら、凝ったことはせずシンプルに行くことにしました。ポイントは「ウイスパーボイスはキュート」だけ出ればいいな、と思って。そして曲をサクサクと作り、Sさんの所へ送りました。Sさん曰く「僕はテクノポップとか聴かないので判断がつかない」・・・・・・・・・・ちょっと不安になりました。

肝心のモンミュフちゃんは気に入ってくれた様子。でも彼女自身打ち込みでボーカルだけ、といったことをやったことがないつーので、やや慎重な様子もなきにしもあらず。ただ詞は彼女が作りたいという話に。おーそいつは願ってもないことだ、と僕は喜びましたよ。まーまずは取り敢えず仮歌を録りましょう、ということで、マイクを貸してくれるTさんに電話をしました。(Sさんの方からも機材については直接話をした方がいい、と話をうける)モンミュフちゃんもTさんのことは全面的に信用していて「とてもいい人」と言っていた。でもなにやらTさんから今回の企画についてちょっと言いたいことがアリそな感じも・・・・・・・・

第3話〜未来編

でもなにやらTさんから今回の企画についてちょっと言いたいことがアリそな感じも・・・・・・・・「また人が絡むのかー」と、思いつつもTさんへ連絡。TさんとはHDRとか機材関係の話で盛り上がる。とても物腰が柔らかく話しのしやすい方。機材提供も快く引き受けてもらえる。ありがたやー。でもTさんモンミュフちゃんへの思い入れが強く、「彼女はスゴイんだよ」と、いうような話が出てくる。で、その彼女の持つイイ部分を前面に出したい、といったニュアンスのことも言われ、僕としてはやや「コマッタな」状態に。

曰く「フューチャリングとかではなく、コラボレーションのような形にしたい。ボーカルだけでなく彼女のギターも入れて・・・・・etc」僕はマスマスコマッタな状態に。とりあえず今回は「Zunba Kobayashi」名義として出す話にしているので、モンミュフちゃんを前面に、というのはちょっと難しいなぁ、彼女のアルバムでやるなら喜んで、と言う話をしてお茶を濁す。それとギャラについても、もし出た暁にはモンミュフちゃんとフィフティー
フィフィティーに、と。それは全然問題ないけど出るのかなぁ?ま、「出れば」の話だけど。

で、とりあえず仮歌を録ることにしました。(その時点で既に1月に)仮歌録りにはモンミュフちゃんとSさんとTさんが来ました。Tさんにも機材提供快く引き受けてくれたことにお礼しつつ、レッツRec!おーやっぱコンデンサーマイクにチューブプリアンプはええ音になりますのぉぉぉぉ、と感動しつつ録音。詞の方はモンミュフちゃんが「フランスのアニメのテーマソングになる感じ」と、言って作ってきてくれました。が、まだ全部出来ていない。ま、仮歌(というか試し)なので全然オッケイ。ボーカルは問題なく、これで本番でもいいだろ?てな感じでした。んが、SさんTさんがイマイチな様子。メシを喰いつつオケと彼女のボーカルに距離がある・・・・ようなことを言われる。(そこでは取り敢えずボーカルを録音したのみで、処理は部屋に帰ってからやることにしていた)モンミュフちゃんが参加する意味は?みたいなことも言われる。「なるほどのー」と、思いつつ、「その違和感もまたテクノなんだよなー」って思ってみたりする。

救いは当のモンミュフちゃんはやる気充分なこと。ま、当の本人さえオッケイなら大丈夫かー、と思いつつも、コマッタことに本チャン録りの日程は今日録音したトラックを僕が仕上げたのを聴いてから、と言われてしまった。マズイ・・・・・・・かも??でも関わった人達が納得しない、つーのは納得出来ないので、納得の行くように納豆を喰う。いや、要するにオケのアレンジを大幅に変えたのでした。変えたと言っても既に録音したモンミュフちゃんのボーカルに合わせて作っていったので、スルスルするその日の内(実際には徹夜作業したので日付は変わってました)に出来ていきました。作ってて自分に酔いましたね。「オレってスゲー」って(爆)と、いうよりもモンミュフちゃんの声はイメージを作り安いんだな。

後半にボコーダーを入れたときは、ちょっとウレシハズカシな気分でした。元のヤツは80sゲートエコードラムがバッコンバッコン鳴っていて、僕も仮歌とりつつ、「リズムは強すぎるなー」と思っていました。シンセの音もジャカジャカ鳴りまくってました。想像以上にモンミュフちゃんの声はソフトなのでした。でもやはり、一度「イマイチ」と感じてしまった人のイマイチ感を覆すことできるかなぁ?とやや不安に。ま、でも締めキリまでも時間がないので、次の日にはSさんの所へ送りました。返事が来るまでドキドキでしたよ。ま、一応断られた時のことも考えて、別の曲をすぐに作りましたが。んで、しばしして返事が来ました。

最終回〜大円団

ま、一応断られた時のことも考えて、別の曲をすぐに作りましたが。んで、しばしして返事が来ました。実は自分じゃよくわからなくなって(というかやっぱ不安で)他の人に「どうかな?」って聴いてもらっていたのでした。「大丈夫でしょう。これでダメって言う訳無いよ」と言われてホッとしました。「オレってスゲー」って思った次の瞬間には不安になる小心者な僕。で、返事が来た。すんなりオッケイでした。しかもなかなかの好感触。どーやらオケとボーカルの距離感というのも、どーやらなにも処理されていないボーカルトラックを聴いていたからの感じでした。まーどーであれ納得してくれてよかったよかった(^^)ちょっとそれまでボーカル処理とかには自信なかったけど、ちょっと自信がついちゃいました。と、いうかただたんに歌い手とマイク&プリアンプがいいからなんですけどね。

でも、もう日にちもあまり無かったので、すぐに歌録りの日程を決めて頂いてレッツレック!その日もSさんTさんも来てくれる。歌詞は前回のはフランス語に間違いがあったり、発音が違っていたとのことで、結構変わっていました。ボーカルの方はほぼ1発オッケイ、と、いった感じでした。モンミュフちゃんはカンがいいなーと関心してみたり。キャラクター的にはオトボケっぽいので、損してるかも。ただ、録音したのが普通のバンドリハ用のスタジオで、丁度上の階にライブハウスがあり、そのリハーサルの音が思いっきり漏れてくる。そのドカドカ鳴っている合間を縫って録音。それと,よりモンミュフらしさが出るようにと、おもちゃの楽器やオルゴールを持ってきてもらう。これがなかなかいい味を出す。

そして無事に終えて、軽くメシでも喰って、茶でも飲んで、その日は仮歌の時とは違って和やかな雰囲気でした。そんで部屋に戻ってすぐにボーカル処理を始める。正直言って、仮歌の方がいいナ、って思う。もし歌詞がちゃんとしていたら間違いなく仮歌を選びましたよ。そんでこれもサクサクと仕上げて、まずはSさんの所へ送りました。もー問題なくオッケイ。そして晴れて吉野氏の所へ送りました。そして今ここにこうして無事「FUTURETRON SAMPLER」に僕のトラックも納められたのでした。多くの人達に支えられ、感謝感激雨霰・・・・・・アラレって「霰」って字だったのね・・・・・・。SさんTさんOさんeurika!さんに、そしてmon muremurさん、ありがとございました。そして「FITURETRON SAMPLER」買ったあなたにも感謝。めでたしめでたし。

ちなみにモンミュフちゃんがフランス語歌詞を作ってもらう前は「テクノポップなんて大嫌い」ていうタイトルで「♪テクノポップなんて大嫌い♪」って歌ってもらうつもりでした(^^;バリバリ(死語(も死語))のテクノポップサウンドの上でアンチテクノポップの歌詞をのせるつもりでいました。個人的にはそっちのバージョンも作っておきたかったなー、とは思うモノの、まーいーか、とも思う今日この頃。ま、楽しい曲作りでした。これですっかり人とヤル楽しさに味をしめたのであった。

なので今僕がやっているCYBORG'80sでは意味もなく、人を集めているのでした。現在もサイボーグ会員募集中です。特典は来年出す予定のサイボーグのアルバムに、お名前がクレジットされます。それだけです。一生に一度はライナーに名前をクレジットしたい、と言う方、声をかけて下さい。国籍学歴性別年齢趣味趣向他諸々一切詳細不問答一発可笑電気計算機です。

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